「どうして同じ機材を使っているのにこうもクオリティが違うのか?」
という疑問を持ってロサンゼルスでワークショップを受けたのが2010年。
そこでは全てはカップルのために、真剣に哲学を持って映像を作っていくことを学びました。
そして2012年も終わりにさしかかっている11月、これまで多くのウェディングを撮って
きました。しかし自分自身を次のステップへ持っていくためにも、最高の撮影とは何かを
もう一度見つめ直して、リセットする意味でマイアミでのワークショップに向かいました。
アトランタ経由でマイアミに着いたのは夜の8時くらい。どれくらい飛行機に乗っていたか
よく覚えていませんが、すでにくたくたです。笑 次の日の朝早くにジャクソンビルという
以前撮影したカップルが住んでいる街に移動するため、アムトラックという電車の駅に向かいます。
チケットは日本でプリントアウトした紙切れ一枚なので不安に思いながらもなんとか乗車。
9時間の長旅ですが、座席のスペースも広く日本の新幹線よりは快適な感じでした。
車内にはスタッフの方が何人かいて、乗客一人一人にどこで降りるのかを確認してまわります。
アナウンスは一応あるのですが、駅に到着する度にどなりながら「降りるやつはいないか?!」
という声が響き渡ります。多分乗り過ごすと、途方も無く遠い駅まで行ってしまうからでしょう。
何時間も荒野の同じ景色を見ていると、「世界の車窓から」ってあの短時間だからいい番組なんだな
と再確認します。おなかがすいたので食堂車へ行き、そんなに選択肢の無い中でチーズバーガーを
頼み、レンジでチンしてくれるのを見ながら待っていると、大戸屋行きたいなあとアメリカ2日目
にして日本の味が恋しくなります。
電車の旅って嫌いじゃないです。
自分の場合は車内で本を読んだり、携帯いじったりということをあまりしません。
よくビジネス書とかで、移動の時間も無駄にするな的なことが書かれていますが、どちらかと
言うと自分はかっこよく言うと「頭をからっぽにする」悪く言うと「何も考えていない」です。
ウェディングの撮影日に関していうと、お手洗いにめったに行きません。ある意味での緊張感が
そうさせているのかもしれませんが、先日珍しく行ったところ、すごく頭がリセットされて
落ち着いていて、神経が研ぎすまされた感覚になりました。お手洗いが全てではないですが、
意識的に緊張感のある中でも常に客観的になれる方法というのを持っておくといいなと感じました。
緊張感ゆるゆる、体力も限界、やっとの思いでジャクソンビルに着いて新婦のAyakoさんと会った時には
泣きそうになるのは人間の摂理でしょうか。笑
Director:酒井 洋一
Canon 5D Mark Ⅲ/24-105mm f4